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佐藤恭子 音楽と日々のあれこれ
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…眼にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかねぬる

と、はじまるメッセージを、先日、ある方から頂きまして、今年の秋の到来を、文章からも感じました今日この頃、久しぶりに美術館でゆっくりした時間を持とう、と、オルセー美術館展に立ち寄ってきました。(混んでいてまったくゆっくりできませんでしたが、涙)


美術館の、文章とオーディオによる解説を見聞きしながら、オルセーに飾られた画家さんたちのエネルギーや喜びや苦悩や、人間関係や社会との関わり方やなんやら見ていると、まあ、時代が違うからといって人間そんなに大きくかわるものでもないのだなぁ、と、えらく共感しつつ。


たくさんの素晴らしい作品があったのだけど、中でも、ミレーの「晩鐘」に強烈に心奪われて、以来、ふと思い立った時に胸の中に絵を再現しては、そのときの衝撃というか、なんともいいようのない気持ちを、繰り返し繰り返し、身体の中に感じています。


作品背景を調べてみたところ、どうやら、彼の子供の頃の記憶を描いたものなのだそうです。夕暮れ時に鐘がなると、祖母が農作業の手をとめて、大地に向かってお祈りをする、そんな思い出の光景。自然の風景や、庶民や農民の日常を描くということが、当時の絵画の常識としてなかったところにもよるのかもしれないけれど、作品が評価されたのが、彼の死後十数年を経てからなのだそう。ミレーもそれ以前は、肖像画家、ポルノ画家だったとか?笑。


軽卒に今を生きるのではなく、実直に、堅実に、その日その日をしっかりと大地に根をはるように過ごし、そして夕暮れ時には祈りをささげ、そんな穏やかさや謙虚さ、厳粛さとか、そして、キャンバスの奥に無限にひろがる静寂とか、鐘の音がいまにも聴こえてくるような気分にさせられてしまうのとか、もう、いろいろ、全くなんとも幸せな気持ちにさせてくれる作品でした。ダリのオマージュや、ゴッホがえらく影響を受けたというのも、納得。(そして、ダリがそこに狂気や恐怖を読み取ったのも、なんとなくわからなくもないな、と…。)


複製でも欲しいと思っていろいろ探してみたけれど、実物に触れたときのような感動がなくて、結局、心の中の記憶でとどめることにしました。


小説家が、自分が納得できる言葉によってしか文章表現できないのと同じくして、音楽も、自分が本当に聴こえていることしか表現できないから、まずは深く音楽を聴く機会を持つこと、と、習いに来られるお弟子さんたちにはいつも口酸っぱくいっているのだけど、とすれば、この画家さんは、瞼の裏に、心の底に、どのような世界が見えていたのだろうか。そんなことをふと思うと、また、なんともいいようのない気分になるのでした。



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